対人援助職の職業性ストレスに関連する背景要因の研究


研究概要
1. 保育者の職業性ストレスの背景要因の研究
近年,保育者不足が顕在化しています。その背景のひとつに,保育者の「ストレス」や「離職行動」が挙げられます。現在,県下約700名の保育者の協力を得て調査を行い,保育者の職業性ストレスの背景要因について整理しているところです。先行研究において,保育者の精神健康の不調が挙げられています。例えば,やりがいの低下,低賃金,超過勤務に加えて人間関係の悪循環等です。これらの要因が精神健康の不調が関連している傾向が高く,その一群では,本来ストレスの緩衝要因になりうる要因,主任や同僚との関係が不良です。加えて,その人間関係不良群の背景には,養成校で学んだ内容・時期による違いや,ハラスメント等の課題があります。これらの課題を,ストレスマネジメントの視点からアプローチし,課題解決及び精神的不調の未然防止のアイデアを提供します。
2. 育児ストレスにおける背景要因の研究
日本の児童虐待件数は増加し続けています。児童虐待の発生リスク要因については,子どもの状況,養育者の状況,養育環境,非変動環境の4つが挙げられます。これらのリスク要因の背景には,養育者の育児ストレスの存在や育児を支援する人や機会が乏しい等があります。そこで,養育者の育児ストレスを評価し,育児ストレスの背景要因について検討しています。また,養育者への具合的な支援の方法等について提供します。
3. 対人援助職におけるスーパービジョンの研究
援助者への援助として,スーパービジョン(以下SVと略す)の視点から研究を行っています。SVは,援助者の精神不調の予防の観点からも重要です。市町村で行われている子育て支援講座や介護(高齢者)研修会あるいは,緩和ケア研修会等において,各現場で働く援助者(保育士,介護福祉士,看護師等)への支援について助言や講演を行っています。
アピールポイント(技術・特許・ノウハウ等)
・職業性ストレスと精神不調との関連分析(SPSSによる多変量解析等)
・子育て支援における助言・講習講師
・職場内にコミュニケーションに関する助言・講習(管理者講習,主任者講習等)
応用可能な分野
地方自治体等による子育て支援の方法提供・助言,ストレスマネジメント,職場環境の整備,ハラスメント講習会の実施,各フィールドにおける研究活動への支援・助言等