土地制度と農業投資、所得分配に関する研究


研究概要
1. アフリカ 農業家計による農業への投資の研究
サブサハラ・アフリカでは農地へのアクセスが伝統的な母系相続や、親族グループからの割り当てによって分配される伝統的土地所有制度が支配的である。換金作物への投資は貧困削減に対する役割が有望視されているが、この伝統的な親族所有の下では、親族メンバーからの重複する利用権の主張が所有権を曖昧にし、このことが投資を阻むことが懸念されてきた。世界銀行とアフリカ各国政府は土地権利の個人化を目的とした土地改革を進めているが、土地権利が投資とリンクするかどうかについて実証研究の結果は様々である。そこで、ガーナで近年行われた公的土地登録とゴムへの投資についてデータを取り、 登録制度の投資への効果、なぜ投資が阻まれるのかを検証した。親族所有が投資を抑制する理由は主として、プランテーション企業から供給される可能性のある初期投入のための融資に際し、契約者が誰なのかはっきりしないこが、融資を抑制していることが判明している。
2. 中国の土地権利改革と所得分配、政治参加についての研究
中国で施行されつつある公的な土地権利改革は、全国から選別された限られた地域で社会的に施行 されているところである。本計画は、過去数年および現在施行段階にある新しい土地制度変更によ り農業家計にもたらされた賃料貸与権、資金借入のための担保権が、1) 農村家計・組合による土地 取得や利用、土地への投資に関する選択、農村の市場経済化と所得向上にどう影響するか、2) 所得 分配への影響、特に不本意な土地売却にどう影響するか、3) これらの制度変更がもたらす、土地の 実質的な私的所有権拡充が、農村住民の政治参加への含意を持つか、の3つの論点ついて、地理的 分断設計の社会実験データ収集と分析によって検証する研究を行なっている。
アピールポイント(技術・特許・ノウハウ等)
現地調査、計量経済学
応用可能な分野
土地改革、農業の投資、産業発展、外国投資