非線形解析学と偏微分方程式の解析


研究概要
1. 放物型・双曲型保存則の数学解析
放物型・双曲型保存則は非線形移流と非線形拡散を伴う現象を記述する微分方程式であり、質量保存則として導出される。衝撃波の発生や平滑化の喪失などの特異性を持つことが特徴である。また気体力学、多孔性媒質流れ、固体液体相転移現象等へ応用可能である。
本方程式を非線形解析学と関数解析学の観点から研究し、解の存在・一意性・連続的依存性(適切性)、時間大域的挙動を得ることを目的としている。
2. 非局所量に依存する連立偏微分方程式の数学解析
人や動物等の群れが動く際には、様々なパターンの形成に加え、パニックやラッシュといった特異な現象が発生することが知られている。近年、これら現象が非局所量に依存する連立偏微分方程式として表現され、数学的な解析が進んでいる。本モデルの適切性、解の時間大域的挙動に加え、現象のモデル化、特異現象の数学的取り扱いについても研究している。
3. 結晶粒界現象を記述する数学モデルの数学解析
2000年にKobayashi-Warren-Carterにより、結晶粒界現象を記述する数学モデルが重み付き
全変動汎関数の勾配流として導出された。本モデルを変分法の観点から研究し、適切性と解の時間
大域的挙動を得ることを目的としている。
アピールポイント(技術・特許・ノウハウ等)
・エントロピーやエネルギー消散性に着目した数学解析
・不連続性を伴う現象の数学的取り扱いと解析
応用可能な分野
・質量保存や変分構造を持つ数学モデルの解析
・交通流、群衆動態等のモデル化および解析