ゼブラフィッシュを用いた希少疾患
研究と創薬を目指したin vivoスクリーニングシステムの開発

研究概要
1. 希少遺伝性疾患の病態解明
ゼブラフィッシュはヒト遺伝子と約70%の相同性をもち、コスト面や動物愛護の観点から医学実験動物として有用である。また、低分子化合物のin vivoスクリーニングや、体の透明性から蛍光タンパク質を用いた形態やシグナルの可視化が可能であるなど多くの利点を持つ。我々は、希少遺伝性疾患で発見された遺伝子変異の疾患発症との関連性を検証するため、ゲノム編集を用いてゼブラフィッシュモデルを作製・解析している。特に、希少遺伝性疾患に多くみられるような一塩基置換等の点変異を模倣するゼブラフィッシュモデルの作製に力を入れており、独自の方法により作製効率の向上を図っている。
2. 機能性RNAの生体内における役割
希少疾患である橋小脳低形成10型のモデル動物の解析から、神経変性を誘導する新たな小RNAを発見した (Nature,2013, Cell,2014)。この小RNAと他の病的RNA候補分子が実際に生体内で神経変性を惹起するか、ゼブラフィッシュを用いた実験系で検証した(BBRC,2020)。本方法は、核酸医薬を含む機能性RNAのin vivoスクリーニングとして応用可能であると思われる。
3. ゼブラフィッシュの生体内シグナル可視化モデル
腎臓ポドサイト障害は慢性腎不全に至る重要な病的機転であることから、ポドサイトを標的とした新規治療法の探索が進められている。我々は、ゼブラフィッシュの透明性を利用して、腎臓ポドサイト障害の可視化モデルの作製を行なっている。本モデルにより、腎臓ポドサイトを標的とした創薬を目指している。
アピールポイント(技術・特許・ノウハウ等)
・希少遺伝性疾患を模したゼブラフィッシュ点変異ノックインモデルの作製
・ゼブラフィッシュの生体内シグナル可視化モデル
① 腎臓ポドサイト障害の可視化モデル ② 生体におけるpH変化の可視化モデル
・ゼブラフィッシュ行動解析(神経疾患解析)
応用可能な分野
・創薬のin vivoスクリーニング(核酸医薬、ドラッグリポジショニング等)
・健康補助食品の有効性・安全性のin vivoスクリーニング