悪性腫瘍に対する新たな画像バイオマーカーおよび画像ガイド下治療の開発

研究概要
1.腹部領域に発生する悪性腫瘍の画像バイオマーカ―の開発
画像診断は生体内で生じる種々の変化をわかりやすく可視化し、病理学的あるいは病態生理に基づいて解析し、その病的意義を過不足なく抽出する作業である。悪性腫瘍の診断においては悪性度や周囲臓器・血管との関係など従来から求められている情報のみならず、どういった薬剤の効果が高いのか、あるいは術後の再発率や生存率を予測するなどの役割(画像バイオマーカー)も求められている。近年のCTやMRIの撮像技術の発展はめざましいが、その臨床応用が十分に行われているとはいいがたい。我々は画像バイオマーカーの開発を通して、撮像技術の発展と臨床医学を有機的に結びつける研究を行っている。
2.画像ガイド下凍結治療の研究
凍結療法は低侵襲治療の一つに挙げられるが、現在は腎細胞がんのみが適応となっている。凍結療法のメカニズムを解析しその利点・欠点を明らかにすることで、より安全にかつ効果的に治療が可能となる方法を探索している。それが将来的に腎以外の癌への適応拡大に繋がると考えている。
3.テイラーメード治療に向けた胆管癌のradiogenomics(画像・遺伝子統合)解析
臨床画像から画像特徴量を網羅的に抽出し、遺伝情報を獲得する研究に取り組んでいる。将来、癌組織を採取せずとも画像のみで胆管癌の個別化治療が可能になると考えている。
アピールポイント(技術・特許・ノウハウ等)
大学院では病理学で専攻し、特に肝細胞癌や胆管癌において病理学知見に基づいた詳細な画像解析に取り組んできた。2016年より2020年まで九州大学先進画像診断・低侵襲治療共同研究部門教授として企業との共同研究に従事。各種低侵襲治療にも取り組み2022年に九州で4番目となる腎癌の凍結療法を導入。県内外から小径腎癌症例の蓄積が予想される。
応用可能な分野
各種医用画像解析。解析用アプリケーションソフト開発。低侵襲治療機器(カテーテルやガイドワイヤー、穿刺針など)開発。