地域で良質な外科医療を実践するための多角的現状調査と外科医教育システムの開発
研究概要
1.地域外科医療に対する多角的現状調査
(1)地域で働く外科医の勤務状況とその満足度に対する現状調査
外科医不足や地域偏在,外科医の高齢化,外科医教育など地域外科医療を取り巻く問題が山積している.そこで地域外科医療に従事している外科医を対象として,勤務状況や外科医教育など,多角的な観点からアンケート調査を行い,その現状や課題を明らかにしてきた.過去10年間に30以上のアンケート調査を実施し,報告書作成,学会発表,および論文報告(14編)を行ってきた.
(2)地域における高齢者に対する外科医療の適応と安全性に関する調査研究
超高齢社会の日本において,高齢者に対する外科治療は年々増加し,その適応や手技上の安全性が課題となっている.高齢化率が40%以上である医療圏をもつ大分県において,高齢者に対する外科治療の適応や手技上の安全性に関する地域間格差の有無を明らかにするために、大分県下の多施設共同研究【地域における高齢者(75歳以上)の一般的な消化器外科疾患に対する地域外科医療の実態調査】などを行っている.
2.外科医教育の改善:グループウエアを用いた外科手術手技の迅速評価システム(Oita-RASOP)の開発
近年,地域における若手外科医への外科教育、特に手術手技
に関する教育は,手術の均てん化の観点からも重要視されている.しかしながら,上述のアンケート調査から,若手外科医に対する手術教育においてPDCAサイクルが欠如し,指導医が自信をもって教育・指導をできていないことが明らかになった.そこで,我々は簡便に若手外科医の手術手技の評価(若手外科医による自己評価および指導医による評価)が可能となる「グループウエアを用いた消化器外科手術手技の迅速評価システム(Oita-RASOP)」を日本で初めて開発した(特許出願中 2022-127155).
現在,社会実装に向けて試験運用を行っている.
アピールポイント(技術・特許・ノウハウ等)
・グループウエアによる大分消化器外科手術手技の迅速評価システム(特許出願中 2022-127155)
・大分県下の外科医、医療機関、医学生を対象とした地域(外科)医療の現状調査とその解析結果
応用可能な分野
・外科医以外の技術職に対する教育評価法への応用
・地域医療における医師(外科医)の勤務環境の標準化や合理化(ITやAI技術の導入).
・地域(外科)医療に関するデータの解析による課題抽出と政策の立案(自治体支援),等