ウイルスに対する診断システム開発と生成AIによる医療・教育への利活用

研究概要
● 感染症ウイルスに対する簡易迅速診断システムの開発(POCTシステム)
感染症は, 途上国ばかりでなく先進国においても, 未だ人類の脅威となる様々な細菌やウイルスなどの病原体が存在する. 例えば, 2019年12月より世界中に蔓延した呼吸器感染症ウイルス(SARS-CoV-2), 熱帯感染症ウイルス(Dengue, Zika 等), 下痢症ウイルス(Rota, Noro, Bufa, Adeno 等), ダニ媒介性ウイルス(SFTSV 等)である. その中で, ダニ媒介性で死亡率約20%のSFTSVをターゲットとした簡易迅速診断システムを開発した. 従来は、数時間かかっていた検査を約20分程度で検出できる診断システムである。
● デングウイルスと新型コロナウイルスの重複感染による重症化メカニズムの解析
バングラデシュにおいて, デング出血熱が急増しており, 原因メカニズムの解明と対応策が喫緊の課題である. 重症化メカニズムを解析すると同時に, 対応策として途上国で運用可能となる迅速かつ適切な医療診断システムの構築を目指している.
● 医療 × 生成AI × 教育
先進医療科学科の設立と同時期に, 生成AIの技術が盛り上がりを見せ, 新たな技術としてChatGPTを含む多くのAIが多くの分野で活用の拡がりを見せている. 生成AIは、特定の役割を模倣して回答を生成, あるテーマに関連する要素を整理, 論点を明確化するなど, これまでのAIでは難しかったタスクを可能にする. 今後の教育において生成AIを使うことは避けられないと考えられる. そこで, 独自に開発した生成AIプラットフォームを通じて、生成AIを使いこなすための知識や能力を学び、未来の医療を創造する.
● ウイルスや癌を標的とした抗体工学的研究
生体防御において、抗体は分子認識に特化したタンパク質で, 抗原(異物)に結合して異物を排除する系へ導く. このような抗体の中のある種の抗体は, パーツに分けることで結合した抗原を分解(酵素活性)することがある. これをAntigenase(抗原分解酵素)と呼んでいる. このような酵素活性を持つ特殊な抗体を作製し、抗体医薬の実用化を目指している。
アピールポイント(技術・特許・ノウハウ等)
・病原体ウイルスの遺伝子解析と診断システムの開発
・医療 × 生成AI × 教育
・ウイルスや癌を標的としたAntigenase(抗原分解酵素)の実用化
応用可能な分野
地域医療や災害医療で活躍するPOCT機器, 生成AIの利活用による予防医学への活用, 抗体医薬の開発