1.過栄養性脂肪肝発症における膵臓―脳―肝臓の臓器間ネットワークと腸内細菌関与 2.持続型血糖測定機具を用いた糖尿病前症への保健指導の実践


研究概要
基礎研究:過栄養性脂肪肝発症における膵臓―脳―肝臓の臓器間ネットワークと腸内細菌叢の関与
インスリン抵抗性を惹起し、耐糖能障害をきたす悪玉サイトカインのTNFαを膵β細胞特異的にLow
copyで発現させたモデルが、著明なinsulitisを呈するにもかかわらず、肥満糖尿病に抵抗性を示
し、さらに過栄養負荷では通常食摂取時より肝臓重量が低下するという極めて特異的な脂肪肝抵抗性
を示すことを見出した。膵ランゲルハンス島局所での変化が脳を介して肝臓にシグナルを送り、過栄
養性脂肪肝の発症を制御している可能性を考え、現在研究を進めている。
臨床研究:持続的血糖測定機具を用いた糖尿病前症への保健指導の実践
健診後の医療機関への受診喚起や生活習慣改善指導には課題が多い。健診で異常が見つかっても、受
診者への効果的なフィードバックができておらず、生活習慣改善まで至っていないケースが多い。最
近、指先の穿刺をすることなく、いつでも・どこでも・何度でも血糖を測定できる「Free Style リブ
レ」が登場した。リブレを装着した対象者には、血糖測定のたびに即座に生活習慣を振り返る機会が
与えられる。これは、これまで我々が長年実践してきた「セルフモニタリングによる自己フィードバ
ックと自己啓発」を主体とした行動療法の実践にほかならない。現在、糖尿病前症やメタボリックシ
ンドローム、あるいはその予備群を対象に保健指導を実践しているところである。
アピールポイント(技術・特許・ノウハウ等)
行動療法の方法論:グラフ化体重日記、30 回咀嚼法、持続型血糖測定器「Free style リブレ」
若手研究B(H14-15 年)脳内SREBP の摂食行動および脂質代謝調節における意義 代表 390 万円
基盤研究C(H16-17 年)抗糖尿病作用を有するレプチン作動性視床下部液性因子の同定とその機能
解析 代表 360 万円
基盤研究C(H19-20 年) 過栄養性脂肪肝の発症・進展に関する新規生理活性物質の単離 代表 350
万円
基盤研究C(H23-25 年)過栄養性脂肪肝の病態生理学的メカニズムの解明と活性酸素によるDNA 障
害の関与 代表 400 万円
基盤研究C(H26-28 年)膵β細胞特異的 TNFα過剰発現マウスを用いた1 型糖尿病発症メカニズム
の解明 代表 370 万円
基盤研究C(H29-31 年)過栄養性脂肪肝発症における膵臓-脳-肝臓の臓器間型ネットワークと腸内
細菌叢の関与 代表360 万円
著書:加隈哲也、千葉政一、第3 章 肥満症の治療 肥満症の行動療法、最新医学別冊 診断と治療の
ABC, 最新医学社2017
著書:加隈哲也、11 代謝疾患 肥満症、今日の治療指針2017, 医学書院2017