低温熱源利用
研究概要
1.研究テーマ1:低温度差スターリングエンジンの出力等の向上
摂氏 100 度未満の加熱で動作するスターリングエンジンの出力改善を試みている.1 回転当たり,容 積当たりで発生できる仕事の量は,2012 年に理論的な限界の 2000 分の一であった.2017 年までの成果 に基づけば理論的な限界の 10 分の 1 程度を達成できる見込みである.この値は,過去の化石燃料の加 熱で動作させていた高性能なスターリングエンジンの半分程度であるが,費用等を比較すると充分に競 争力がある.2018 年 1 月時点で機関回転数の向上に取り組んでいる.
2.研究テーマ2:低温度差スターリングエンジンの製作方法
お湯の熱で動くスターリングエンジンの製作は,従来「精密な加工が必要」と言われてきたが,2005 年にホームセンターの店頭で販売される材料と工具だけを使って,手加工で製作に成功した.
2018 年 1 月の課題は,十数台から数十台単位の規模で,複数台の低温度差スターリングエンジンを生 産できるようにすることである.1 台当たりの製作時間や,利用する設備が限られている.
アピールポイント(技術・特許・ノウハウ等)
•工業所有権:特許第 4552175 号,発明の名称:エンジンの駆動方法,発明者:加藤義隆,出願人: 有限会社大分 TLO,出願番号:得願 2003-436210
•地域での活動:低温度差スターリングエンジン競技会・発表会(学会主催)の企画運営および工作 教室(大分大学)の実施
•著書:加藤義隆,An introduction to DIY by handicraft of a low temperature differential Stirling engine written in Japanese スターリングエンジンの手作りで DIY 入門,デザインエッ
グ社; 1 版 (2017/7/31),168p.ISBN-10: 4815001006, ISBN-13: 978-4815001001
•その他の経験:木質系バイオマスや石炭の灰溶融ガス化で博士の学位を取った際,経験したものは 以下の,粉体供給機の改造と調整,固体燃料・水蒸気・空気の流量調整と計測,熱収支と物質収支の把握(設備の配置や分析装置の選定,計算式の作成等込み),気相における化学平衡の計算(プログラムは図書館で調達可能な安価で商業利用可能なもの),灰分の工業分析値から灰の融点の推定 である.玉掛け技能講習修了.また別途,PLC を用いた機器の操作も経験がある.
応用可能な分野
低温度差スターリングエンジンに関わり,広く浅く経験した物は以下の,DIY 可能な形状の検討(サイズ公差の影響を配慮した加工の基準などを試行錯誤),Excel VBAを用いたデータ処理,Microsoft Office
を用いた資料作成,簡易な数値流体計算による空間内の温度分布の推定(ソフトは商業利用可能なフリーソフトを使用),機構の運動解析,イベントや機器製作におけるプロジェクトマネジメントである.家庭での調理や家事,インテリアの検討にも個人的に活用したものはある.