多様体学習に基づく大規模非線形構造の解明


研究概要
平衡状態から遠く離れた系では,「非線形性」が働くことで様々な動的現象が現れる。その振る舞いを 数理的に記述するために、自己組織化,散逸構造,カオス,フラクタルなどの諸概念が整備され,非 線形科学として学問的に体系化されつつある。一方,情報処理に関して,データ量・計算機能力の大 規模化とニューラルネットワークやカーネル法などのデータに内在する非線形性を捉えたモデリン グや解析手法の開発が進んでいる。
本研究室では,生体システム(脳神経系)が持つ柔軟な情報処理機能の背後にある物理的な基盤, 特にカオス的なダイナミクスが持つ積極的役割について,理論解析および数値シミュレーションを通 じて探求している。同時に,外部の実験研究者と連携しながら,脳波時系列による個人特性の解析と 認証(理化学研究所との共同研究)、質量顕微鏡イメージングによる脳内物質環境(浜松医科大学との 共同研究)などの大規模な実験データに対して、主に多様体学習と呼ばれる非線形手法を用いた研究 を行っている。また,これらの研究の理論的背景となる力学系の数理や機械学習理論に関する基礎的 な研究を行っている。
アピールポイント(技術・特許・ノウハウ等)
上記の研究について、現在以下の助成を受けている:
リザーバ計算に基づく記憶と学習の背後にある力学系構造の解明(科研費新学術・代表)
質量顕微鏡データによる脳内環境の解読に向けた数理基盤の構築(科研費基盤 C(特設)・代表)
※(矢尾育子氏(浜松医大)らとの共同研究)
カーネル法による高次元データの非線形スパースモデリング(科研費新学術・分担)
※(赤穂昭太郎氏(産総研)らとの共同研究)
動的データに内在するレアイベント性の新規な特徴付けと生体時系列への応用(科研費基盤 C・分担)
※(藤崎弘士氏(日本医大)らとの共同研究)
脳状態推定と誘導(内閣府 ImPACT 脳情報の可視化と制御による活力溢れる生活の実現・分担)
※(北城圭一氏(理研 BSI)らとの共同研究)
応用可能な分野
心拍変動、概日リズムなどの生体時系列や fMRI など医療画像データの統計解析