機能性炭素材料,エネルギー貯蔵材料の開発・評価


研究概要
炭素材料の調製,それを利用した機能性材料の創製,評価について研究を行っています。具体的には,ピッチ系炭素繊維の紡糸,あるいは電界紡糸法を用いて,ハイパーコールからの微小炭素繊維の調製を行っています。また,導電性を向上させるための黒鉛層間化合物の調製,層間化合物形成のメカニズムの解明,さらに,新規多孔質炭素材料の調製を行っています。この他に,窒素がドープされた新規炭素材料の調製等に関する研究についても進めています。それら炭素材料(ナノファイバー,多孔質炭素材料)を用いて,エネルギー貯蔵材料の電極としての評価も行っています。応用例として,電気二重層キャパシタ(EDLC),リチウムイオン電池,リチウム空気電池の電極,さらには燃料電池拡散層への適用があります。この他,黒鉛層間化合物のグラフェンへの剥離につても研究を進めています(TEM画像参照)。
原料に劣質炭由来のハイパーコール溶液を用い,電界紡糸装置を用い微小炭素繊維を調製しています。下図に示すように,微少繊維をフィルム形状に堆積することが可能で,繊維が微小であるが故に,不融化無しで炭素化まで行うことができます。この炭素繊維フィルムを用いたEDLC容量では,市販の活性炭電極を凌駕する値を得ています。この微小繊維は,TEM画像に示された形態で,賦活処理無しで1000 m2/gの比表面積を示し,主にミクロ孔で形成されています。微小化された炭素材料の評価手法として,昇温脱離装置(TPD),昇温酸化装置(TPO)を用いて,表面官能基種,酸性官能基の定量を行っており,炭素材料のエッジに付与されている官能基が寿命特性に影響を与えることを見いだしています。また,エッジ部付与されている,酸性官能基を制御することで,新たな機能が付与できることについても報告を行っています。
アピールポイント(技術・特許・ノウハウ等)
◎炭素材料の調製と黒鉛化及びその評価,あるいはグラフェン等のナノ炭素材料の調製が可能です(3000 ℃までの焼成が可能です)。具体的には,1) エネルギー貯蔵材料(キャパシタ,リチウムイオン電池等の電極材料)への適用と評価2) 炭素材料,セラミックス材料の構造評価,表面特性評価 3) 黒鉛層間化合物の合成 4) 電界紡糸装置を用いた微小炭素繊維の紡糸,フィルムの作製
応用可能な分野
機能性炭素材料の調製と評価; ◎サブマイクロの炭素繊維の調製(複合材,電極材), ◎黒鉛層間化合物の調製(電極材), ◎膨張黒鉛の調製, ◎エネルギー貯蔵材料(キャパシタ,空気電池等の電池用電極材料)の開発, ◎炭素材料の表面状態(炭素材料の評価), ◎導電,熱電材料の合成(機能性炭素材料), ◎溶液法を用いたグラフェンの調製,